ルネサンスは死からの再生(3)

前回はイタリア盛期ルネサンス期の彫刻家、画家、建築家、詩人と
あらゆる分野に大きな影響を与えた芸術家、ミケランジェロ・ブオナローティ。
そのなかでも、サン・ピエトロ大聖堂(バチカン)を紹介しました。

さて、あなたのまわりにも8角形をモチーフにした建築物は沢山見つかりましたか?

今回は完成までに約4年を費やすことになるシスティーナ礼拝堂の天井画ですが、
もともとローマ教皇ユリウス2世から引き受けたミケランジェロの天井画の制作計画は、
天井に空を背景とした十二使徒を描くというものでした。

ところがミケランジェロはこの当初計画を破棄し、「創世記」のエピソードを
もとにした人類の堕天と救済を、預言者たちとキリストの家系に連なる人々によって
描きだすという、はるかに複雑な構成を採用しました。

このシスティーナ礼拝堂天井画の中でも
ミケランジェロの作品で有名な「アダムの創造」があります。

ミケランジェロの「アダムの創造」 システィーナ礼拝堂(ヴァチカン)

もちろん「創世記」から、神が最初の人類であるアダムに
生命を吹き込む場面を表現してるのですが、
私はこの天井画を見た瞬間、この作品の予備知識がなくても
神の周りにまとう赤いマントは人間の脳みそだ
と、分かりました。

案の定、「アダムの創造」を調べると、解剖学的学説が載っています。

『アダムの創造』の極めて独創的な構成に関して、ミケランジェロが十分な解剖学の知識を持っていたのではないかとする説がある。1990年にインディアナ州アンダーソンの医学博士フランク・リン・メッシュバーガーが、医学誌『ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション』で、神の後ろの人物像と、さらにその背景に描かれている布の表現が、解剖学的に正確な人間の脳に見えると指摘した。このメッシュバーガーの説は、同じく医学博士のマーク・リー・アプラーによって検証されている。綿密な調査の結果、『アダムの創造』の神が描かれた部分は大脳表面の脳溝、さらに脳幹、前頭葉、頭蓋底動脈、脳下垂体、視交叉と一致すると結論付けられた。メッシュバーガーはほかにも、アダムと神の腕はシナプスを介したニューロンの生化学的情報伝達を意味するとしている。神は脳の中心である感情を司る大脳辺縁系を意味し、おそらくは人間の魂を表現している。そして伸ばされた神の右腕は、人間の脳でもっとも創造性に富み、もっとも重要な部位である前頭前皮質を表しているとしている。

つまり、ミケランジェロは表向きに神の「創世記」を描いていますが
裏に潜まれた彼の「創世記」は人間の脳の仕組みが人間に生命を吹き込む
ということを描いているのです。

しかも、カトリックの総本山バチカンのシスティーナ礼拝堂の天井に
描かれています。大胆不敵。

同じくプラトン・アカデミー出身のレオナルド・ダ・ヴィンチの
「ウィトルウィウス的人体図」は有名です。

「ウィトルウィウス的人体図」 アカデミア美術館(ヴェネツィア)

人間の美しいとされる人体比率が描かれていますが
その美しいとされる基準は相互関係が関係されていて
これがよく言われる黄金比ですが、絵を描くときや、
美しい彫刻を彫るときや、建築の際、とても重要な知識でした。

このルネサンスの時期、解剖学が進んで行われていました。
もちろん芸術と科学との融和もありましたが、
メイソンたちは「人間の機能は宇宙の動きと関連している」と
知っていたからです。

人間の脳の仕組みも把握していたことでしょう。

次回に続く。