(10)十戒

映画「十戒」で海が割れるシーン

ユダヤ人にとって、忘れてはならないエジプトからの脱出劇があります。

この脱出劇を描いた「出エジプト記」には、ユダヤ人がエジプトで迫害され、奴隷として扱われた物語が記されています。

 

神はエジプトの王ファラオから虐げられるユダヤ人を見て、再びカナンの地へ連れ戻そうとします。

「出エジプト記」に登場する神は、宗教的で抽象的な個人のなかに存在するものではなく、奇跡をもって彼らに救いの手を差し伸べる存在として描かれています。

 

まず神は、「モーセ」という人物を指導者に選び、民の救出を命じます。

因みに、「モーセ」とは、ヘブライ語で「引きだす」のという意味です。

 

モーセは、エジプトの王ファラオや厳しい荒野の自然からユダヤ人を守るため、神の力を借りて危機を次々と乗り越えていきます。

そこには映画「十戒」でも有名な海の割れるシーンも登場します。

十戒

十戒

 

 

多くの危機を乗り越え、何とかシナイ山に到着した一行ですが、ここで神はモーセに「十戒」という戒律と律法を授けます。

その「十戒」が下記の通りです。

①あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。

②あなたはいかなる像も造ってはならない。あなたはそれらに向かってひれ伏したり、それらに仕えたりしてはならない。

③あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。

④あなたは安息日を心に留め、これを聖別せよ。

⑤あなたの父母を敬え。

⑥あなたは殺してはならない。

⑦あなたは姦淫してはならない二世あなたは盗んではならない。

⑨あなたは隣人に関して偽証してはならない。

⑩あなたは隣人の家を欲してはならない、隣人の妻を欲してはならない。

 

神はユダヤ人に、この戒律を遵守するように命じ、ここで神とユダヤ人との契約が交わされたのです。

神とユダヤ人が契約を結ぶという、この行為こそ、聖書の独自性を明確にしています。

とくに①と②の掟は、他民族の宗教とは一線を画すもので、偶像崇拝を認める他民族の宗教を厳しく批判するものです。

 

また、神はモーセに「十戒」を刻んだ石板二枚を契約の箱の中に入れ、それをテントの中に安置するよう命じます。

そして、一行は再び約束の地であるカナンを目指し、放浪の旅を続けるのです。

 

さて、神とモーセによる「掟」の授与こそが、のちにユダヤ人が他民族から迫害される要囚の一つとなったわけですが、この迫害によって、ユダヤ人は決して屈しない精神的力が具わったというわけです。

 

イスラエル人をカナンの地へ導くために指導者として神に選ばれたモーセですが、その放浪の旅は実に40年にも及んだのです。

また、モーセはのちにイスラエル社会において重要な地位を占め、崇められています。

 

映画「十戒」で石板を持つモーセ

映画「十戒」で石板を持つモーセ

 映画「十戒」で海が割れるシーン

映画「十戒」で海が割れるシーン

 

モーセが神から十戒を授かったシナイ山

モーセが神から十戒を授かったシナイ山

物語には、「アロン」というモーセの兄が登場しますが、彼もまたイスラエル人をカナンヘ脱出させるためにモーセとともに旅をする一人ですが、モーセに比べ弱い面があり、神が命じたことに背いてしまうことがあります。

しかし、アロンは晩年、イスラエルの礼拝を司る大祭司となって、後の世代から祭司の祖先とされています。

契約の箱(アーク:聖櫃)画像はレプリカ。

契約の箱

契約の箱

シナイ山で神とイスラエル人との間で契約が結ばれたことを記念してつくられ、この中には十戒が刻まれた石板が納められていました。